前編では、1,200万円の中古平屋を手紙作戦で810万円まで交渉し、地元の信用金庫の融資でなんとか購入したところまでお話ししました。(まだの方はこちら→ 【前編】購入・指値・手紙・融資の話)
ここからが本番です。不動産は「買う」より「貸す」ほうがずっと難しい。私はそれを、1年7ヶ月の空室という形で、身をもって思い知ることになります。後編は、隠したくなるような失敗ばかりですが、正直に書きます。

築浅で町の中心、駅も近い。そんな良物件なら、貸すのは余裕じゃないの?

私もそう思っていました。でも賃貸は「スペックの平均点」より「たった一つの致命的な弱点」で決まるんです。この家の弱点は、買う前から分かっていたのに——。
買う前に仲介3社を回った——需要調査でわかった「最大のネック」
私は買う前に、賃貸需要を確かめるため仲介3社を飛び込みで回りました。机上の利回り計算だけで突っ込むのが怖かったからです。
- 1社目(地場最大手):10分ほど。「この地域に戸建ての賃貸はほとんどない。詳細を見ないと断言できないが、一定の需要はある」
- 2社目(地場の有名業者):30分ほど。ほぼ同じ回答
- 3社目(地元の街の不動産屋さん):なんと1時間半。親身に話を聞いてくれました
この3社目が決定的でした。実はこの方、過去にこの物件の売却相談を受けたことがあったそうで、物件の事情に詳しかったのです。
その見立ては——「建物は築浅だから問題ない。立地も小中学校・役所・駅が近くて申し分ない。問題は車だ」。
地方では車が必須です。ところがこの家、進入路の道幅が少し狭く、大きな車だと避けられる。さらに玄関前の駐車スペースは軽1台がやっと。前の所有者は高齢で車を持っていなかったため、それで成り立っていたのです。
「軽自動車に乗る高齢のご夫婦などをターゲットにすれば、一定の需要はある」。3社目の社長さんはそう結論づけてくれました。完璧ではないけれど勝算はある——そう判断して、私は購入に踏み切りました。
この「駐車場が弱点」という事前情報を、私はこのあと、軽く見てしまうのです。
【失敗談②】6万円・ペット不可の強気設定で、1年7ヶ月の空室
購入直後、まず手をつけたのは庭の手入れでした。敷地内に大きな木が何本もあり、合計3本を伐採。このとき、相見積もりサービス(ミツモア)を使ったら、良い業者さんに安く頼めて、見通しもスッキリ。今後のメンテも楽になりました。こういう細かい初期費用も、不動産にはついて回ります。
そして本命の客付け。お世話になった3社目に依頼し、2024年8月に大手賃貸サイトへ掲載されました。
掲載直後から「いいね」がたくさん付き、近隣物件より反響も多い。「これはいけるかも」と手応えを感じたものです。条件は家賃6万円・ペット不可。築浅だからと、私はやや強気に設定しました。これが誤りでした。
2ヶ月ごとに業者からフィードバックが入ります。内覧の問い合わせはある。でも、決まらない。理由はいつも同じ、あの駐車場でした。近年はSUVなど大きな車に乗る人が多く、「軽しか停められない」というだけで引き合いが激減していたのです。ペット希望の問い合わせも、「不可」設定のせいで断り続けていました。
一番の繁忙期である4月の入居も、誰も現れませんでした。
さすがに方針転換です。ペット可に切り替え、礼金1ヶ月・清掃費の上乗せという条件を付けました。それでも——2025年の夏まで、入居者は決まらなかったのです。

内覧は入るのに決まらないって、いちばん精神的にキツいやつだ…。家賃も入らないのにローンと固定資産税だけ出ていくんでしょ?

そうなんです。「いいね」の数に浮かれた自分を何度も責めました。事前調査で弱点は分かっていたのに、築浅という強みで上書きできると過信した。これが2つ目の失敗です。
【失敗談③】55,000円の客を”強気と先入観”で逃した
私は3社目への恩義から、最後までこの1社にお願いしたかった。けれど社長さん自身が「他社さんにも力になってもらったほうがいい」と勧めてくれたので、事前調査をした1社目・2社目にも募集を依頼しました。
すると——1社目は「入居後の管理もセットでないと動かない」とのことで見送り。2社目は「客付けのみでOK」と引き受けてくれました(ちなみに当初、私は入居が決まったら自主管理するつもりでした)。
そして2025年9月ごろ、2社目から連絡が入ります。「55,000円まで下げてくれれば、即決したいお客さんがいる」。海外出身の方とのことでした。
ここで私は、また強気に出てしまいます。「58,000円までしか下げられない」と回答。さらに心のどこかで「海外出身の方だと、すぐに退去してしまうのでは」という根拠のない先入観もありました。
結果——この方を逃しました。今思えば、3,000円の差と勝手な思い込みで、貴重な入居希望者を手放したのです。これが3つ目の失敗です。
駐車場整備を決めた矢先、車を持たない入居者が決まった
この出来事の後、私はようやく腹を括ります。家賃を55,000円に下げ、2社で募集を継続。あわせて、諸悪の根源である駐車場の整備に踏み切ることにしました。3社目に業者を紹介してもらい、上限50万円で見積もりを取る——その段取りまで進めたのです。
ところが、その矢先。3社目から「入居の申し込みが入った」との連絡が。しかも申込者は車を持たない方だったため、駐車場拡張の話は不要になりました。現地まで来てもらった見積もり業者さんには、丁重にお詫びして白紙に戻しました。
入居が決まったのは2026年3月。条件は家賃55,000円・フリーレント付き、ただし礼金1ヶ月は確保。家賃保証会社にも加入してもらう前提です。業者からは「おそらく問題ないと思いますが、最後はオーナーさんが決めてください」と声をかけられ、私は契約を進めました。
掲載から実に1年7ヶ月。長い空室期間が、ようやく終わりました。

この1年7ヶ月、ローン返済と固定資産税は容赦なく出ていきました。この赤字が、今の収支にも重くのしかかっています。
自主管理の洗礼——お湯が出ない、ドア、そして担当者トラブル
入居が決まり、当初の予定どおり自主管理でスタート。窓口は私自身です。ところが、業者の予言どおり、すぐに連絡が来ます。
「お風呂のドアの建て付けが良くない」「お湯は出るが、水が出ない」。入居者の方はクレーム調ではなく、淡々と冷静に指摘してくるタイプでした。
実は3社目から、自主管理の知恵として「プロパンガス会社を入れておくと、何でも屋的に代行してくれて便利」と聞いていました。そこで事前にそのガス会社に切り替えていたので、今回もそこへ依頼。担当者は快く現地へ向かってくれました。
ところが——これがダメだった。入居者から「ガス会社の担当者との相性が合わず、人を変えてほしい」との申し出が。最終的にガス会社のほうから「今回の件からは手を引きます」と言われてしまいました。担当者同士の相性は、オーナーにはコントロールできない領域です。
結局、3社目に相談し、お湯はメーカー、ドアは地元業者に修繕を依頼。費用は合わせて約8万円でした。困ったときにいつでも相談に乗ってくれる3社目には、本当に助けられています。

自主管理って家賃まるごと手元に残るのが魅力だけど…本業しながらこれを全部さばくのは、現実的じゃないかも。

痛いところを突きますね。私も「勉強になる」と思う一方で、本業のかたわらの対応は正直しんどかった。だから、ある決断をしました。
管理委託へ転換、そしてエアコン2台で 17.8万円
入居トラブルを経て、私は2026年4月から、管理を業者に委託することにしました。依頼先は1社目。費用は家賃の10%+税です。自主管理で得られるはずだった手残りを、一部手放す決断でした。
ところが委託直後、管理業者から新たな相談が。「部屋がカビっぽい。エアコンが原因では」。
調べると、エアコンは前の所有者が設置してから一度も替えておらず、15年以上経過した旧式。クリーニングも部品交換も不可とのこと。判断を迫られましたが、入居者の暮らしを思い、また「今後エアコンは値上がりする」という話も聞いていたので、設置されている2台とも交換することにしました。
近くの家電量販店へ行くと、ちょうど商品入れ替えの時期で、東芝のエントリーモデルが安くなっていました。価格交渉し、2台同時購入で合計3万円の値引きに成功。本体は1台6万円(税込)に抑えました。
ところが——工事費は別だったんです。これを知らなかった。リサイクル料も含めて、最終的な支払総額は178,000円。「本体は安く買えたのに、工事費がこんなに高いとは」。物価上昇を、財布で実感した体験でした。
【現在地】手残り年3万円、それでも持ち続ける理由
正直に、現在の収支をお見せします。
- 金利上昇局面(変動3.3%)+管理委託料(家賃10%+税)+固定資産税を引くと、手残りは年3万円ほど
- そこへ修繕8万円・エアコン 17.8万円が乗り、現時点でキャッシュはマイナス
これが、私の戸建て投資の”現在地”です。交渉は成功したのに、運営でつまずいた。まさに現在進行形の失敗談です。
ただ、それでも私は、この家を売らずに持ち続けています。理由は3つあります。
- 税の還付——区分マンションのときにも実感しましたが、不動産には減価償却を使った税のコントロールという側面があります
- 出口戦略——いつ・いくらで・どう手放すか。これを考えながら持つこと自体が、次の投資への学びになる
- 転勤族という現実——私は転勤の可能性があり、いずれ自主管理は不可能になります。だからこそ、今のうちに管理委託の体制を整える経験に価値がある
区分マンションでも「赤字なのに黒字と言える理由」を書きました。今回の戸建てと同じ問題意識です→ 【会社員の不動産投資】家賃8万円のマンション、月のキャッシュは赤字。それでも「黒字」と言える3つの理由

これだけ赤字の話を聞くと、不動産はやめておこうと思っちゃうけど…それでも続ける理由が3つもあるんだね。

はい。失敗は失敗として認めた上で、「ここから何を学んで、どう出口に向かうか」。これが資産形成の本当の面白さだと思っています。次の入居者が退去したら、今度こそ駐車場は整備します。この物件のその後も、このブログで正直に書き続けますね。
まとめ:戸建て投資、47歳パパのリアルな”現在地”
前後編を通して、私の戸建て投資の全記録をお伝えしました。
- 需要調査で見えていた「駐車場」の弱点を軽視【失敗談②】
- 6万円・ペット不可の強気設定で1年7ヶ月の空室
- 55,000円の入居希望者を、強気と先入観で逃した【失敗談③】
- 自主管理の限界を知り、管理委託へ転換
- 修繕・エアコンで出費がかさみ、現在キャッシュはマイナス
それでも、株(高配当株・インデックス)と並ぶ「第3の柱」を育てる挑戦は続けます。大切なのは、失敗を隠さず、次の判断材料にすること。
これから不動産を考える方へ。まずは株という土台を固め、生活防衛資金と投資の柱を作った上で、余力で不動産に挑むのが順番だと、私は実体験から思います。私の資産形成のベースは、今もネット証券での高配当株運用にあります。
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家計管理パパが10年以上使い続けてきた楽天証券。NISA成長投資枠+株式数比例配分方式で配当が事実上非課税、楽天ポイントとも連動。株で土台を作りながら、本記事のような不動産分散に進むのが私の流れでした。
※ 投資判断はご自身の責任で行ってください
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