家賃8万円のマンションを保有していると言ったとき、多くの人が想像するのは「毎月8万円の不労所得」。
でも現実は、そんなにシンプルじゃありません。家賃から差し引かれる経費を全部書き出すと──私の保有していた築古区分マンション(地方中核都市・3LDK・70平米・1989年築)の場合、月のキャッシュフローは6,417円の赤字でした。
「赤字?じゃあやっぱり不動産投資は儲からないんじゃ?」── そう思った方、ちょっと待ってください。
本記事では、第1話「独身時代の購入決断」で買った築古区分マンションを3年7ヶ月運用した「ぶっちゃけ数字」を全公開します。月CFは赤字。それでも私が「黒字」と言い切れる3つの理由を、減価償却・元本返済・キャピタルゲインの3軸で解き明かします。
月次キャッシュフロー:家賃から引かれる7つの経費
まず、月のキャッシュフローの実態から見ていきます。家賃収入から差し引かれるのは、以下の6つの経費+元利返済です。
| 項目 | 月額 | 備考 |
|---|---|---|
| 家賃収入 | +80,000円 | 法人契約・入居中(取得時から退去まで継続) |
| ローン返済(元利均等) | −60,200円 | 1,040万円・変動2%・17年 |
| 修繕積立金 | −10,000円 | →2025年に13,000円へ増額(後述) |
| 管理費(マンション管理組合) | −5,000円 | オーナー負担分 |
| 管理委託費 | −5,800円 | 不動産会社への委託費 |
| 固定資産税(月割) | −5,417円 | 年65,000円÷12 |
| 月キャッシュフロー | −6,417円 | 節税効果は除いた数字 |
この表だけ見ると、「会社員の不動産投資は失敗」と判定しても無理はないでしょう。家賃が入っているのに、毎月6,400円が口座から出ていく。1年で約77,000円のマイナス。
でも、これは「キャッシュフロー」の話だけ。実は、不動産投資の本当の利益は別の3軸に隠れているのです。

赤字なんですか…!?じゃあやらない方がいい投資?
理由①:減価償却の魔法で「帳簿上は赤字」→ 所得税が還ってくる
不動産投資が「赤字でも儲かる」最初の仕掛けが、減価償却です。これは「建物の価値が時間とともに減っていく分を、毎年経費として計上していい」というルール。
減価償却の計算(築古マンションのモデルケース)
1989年築・RC造(鉄筋コンクリート)の中古マンションを2022年に取得した場合、減価償却の耐用年数は次の式で計算されます。
- 法定耐用年数 47年 − 経過年数 33年 + 経過年数 33年 × 20% = 20年(端数切捨て)
取得価格950万円のうち、建物部分を仮に60%(土地40%)で按分すると、建物価格は約570万円。これを20年で経費化します。
- 年間減価償却費 = 570万円 ÷ 20年 = 約28万円/年
これに加えて、ローン利息(年16〜19万円)・管理費・修繕積立金・固定資産税・管理委託費・火災保険などが経費に乗ります。年間経費の合計は約70万円。家賃収入が年96万円なので、不動産所得は約26万円の黒字……だと思いきや、初年度は仲介手数料38万・不動産取得税15万なども経費化できるので、初年度は大きな帳簿赤字になります。
確定申告で実際に戻ってきた金額
では、私の実際の還付額を公開します。
| 年 | 還付額 | 備考 |
|---|---|---|
| 2022年(取得・3ヶ月) | 129,141円 | 仲介手数料・取得税の経費計上で大きめ |
| 2023年 | 64,033円 | マンション単独の通年。減価償却+ローン利息中心 |
| 2024年 | 155,368円 | ※戸建てを別途取得し合算 |
| 2025年 | 126,198円 | ※戸建ても含む合算 |
| マンション単独期間の還付額(2022〜2023) | 約19.3万円 | 2年分の節税効果 |
2024年以降は戸建ても確定申告に含めているため合算ですが、マンション1戸保有による年間節税効果は、概ね6〜13万円のレンジと見るのが妥当です。
つまり、月CFの赤字6,400円(年77,000円)は、節税効果でほぼ相殺、もしくは年によってはプラスになっていたわけです。「赤字なのに損していない」── これが減価償却の魔法です。

減価償却で帳簿に赤字を作って、所得税を取り戻す。たしかにこれ、知らないとできないですね…
理由②:元本返済が”見えない貯金”195万円
不動産投資の2つ目の隠れた利益が、ローンの元本返済です。
月60,200円のローン返済は「経費」ではありません。返済の内訳は「ローン利息+元金返済」で、利息部分は経費にできますが、元金返済は『借りていたお金を返している』だけなので、税法上は経費にならない。でも、これは見方を変えると「毎月の家賃で、私の資産(=ローン残債の減少)が積み上がっている」と読めます。
3年7ヶ月の残債推移
| 時点 | ローン残債 | 累計元本返済 |
|---|---|---|
| 2022年9月(取得時) | 1,040万円 | 0円 |
| 2026年5月(3年7ヶ月後) | 約845万円 | 約195万円 |
つまり、入居者の家賃でローンを返し続けた結果、3年7ヶ月で約195万円の「見えない資産形成」ができていた。私の手元から出ていったのは、月6,400円×43ヶ月=約27.5万円のCF赤字だけ。それで195万円の元本返済が進んだのだから、差し引き約167万円のプラスです。
元利均等返済の特徴で、返済初期は利息比率が高く(月60,200円のうち初月は利息約17,300円・元金42,900円)、徐々に元金返済比率が上がります。長く保有するほど元金返済のスピードが加速し、資産形成効率が上がる仕組みです。
理由③:キャピタルゲインの伏線 — 物件価格そのものの上昇余地
そして3つ目の隠れた利益が、物件価格の上昇余地(キャピタルゲイン)です。
不動産は株式と違って毎日値段が変動しません。買ってから何年か経って、売却を検討する段階で初めて「市場価格」が見えてきます。私の場合、取得950万円の物件が、現在は売出し1,300万円・想定成約1,100〜1,200万円のレンジで動いています(取得時諸費用90万円、売却時諸費用約4%を考慮しても、純キャピタルゲインは数十万〜100万円超のプラス見込み)。
このキャピタルの細部は第3話「家族変化で売却決断編」で全公開しますが、ここでは「運用フェーズの収支は赤字でも、最終的に物件を売れば差額がドカンと入ってくる可能性がある」── これが3つ目の理由です。

赤字(CF)・節税(減価償却)・資産形成(元本返済)・キャピタル(売却益)── この4つの軸を全部足し算すると、不動産投資は「赤字ではない」んです。会社員1人でも、ちゃんと黒字を出せる仕組みになっています。
修繕積立金が3年で1.3倍 — 管理組合の判断と私の覚悟
運用していて1つ大きな変化があったのが、修繕積立金の値上げです。
- 当初(2022年取得時): 月10,000円
- 直近(2025年から): 月13,000円(3年で1.3倍)
このマンションは管理組合がしっかりしていて、修繕積立金の残高もかなりある状況。それでも将来の大規模修繕に備えての増額判断でした。築古マンションを長期保有する場合、これは避けられないコストです。
正直に書くと、月3,000円の増額はインパクトがあります。しかし、私自身は当初から長期保有を想定していたので、「やむを得ない」と飲み込みました。逆に言えば、修繕積立金がきちんと上げられないマンション組合の方が、将来の劣化・資産価値の低下リスクが大きい。値上げは「管理組合が機能している証拠」と捉えるべきです。

3年で1.3倍は確かに…でも長期で持つ覚悟があれば飲み込めますね。むしろ管理がしっかりしてるサインだと思うと安心です
3年7ヶ月の運用フェーズ純利益 = 約200万円
ここまでの数字をまとめると、運用フェーズ(売却を除く3年7ヶ月)の純利益は次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 累計CF(節税前・43ヶ月) | −約27.6万円 |
| 累計節税効果(マンション単独期間2022〜2023実数+2024〜2025のマンション按分推定) | +約32万円 |
| 元本返済(資産形成) | +約195万円 |
| 運用フェーズ純利益 | +約200万円 |
自己資金ゼロ(オーバーローン1,040万円)からスタートして、3年7ヶ月で約200万円の純利益。さらに売却が成立すれば、ここに数十万〜100万円超のキャピタルゲインが上乗せされます。
月CFは赤字。でも、減価償却・元本返済・キャピタルの3軸を合算すれば、本当はちゃんと黒字。これが「会社員1人が築古区分マンションを1戸持つ」ことの真の経済効果です。
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※ 投資判断はご自身の責任で行ってください
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まとめ ─ 数字の裏側を見れば、不動産投資は「赤字ではない」
家賃8万円、月CFは6,400円の赤字。それでも私が「黒字」と言い切れる3つの理由を振り返ります。
- ① 減価償却の魔法:帳簿赤字で所得税が還ってくる(年6〜13万円のレンジ)
- ② 元本返済が”見えない貯金”:3年7ヶ月で約195万円の資産形成
- ③ キャピタルゲインの伏線:売却時に差額が一気に入る可能性
運用フェーズだけで純利益約200万円。自己資金ゼロから始まったことを考えれば、これはROI上ありえない数字です。不動産投資は「家賃収入だけで儲かる」のではなく、「数字の裏側にある3つの軸を足し算して、はじめて儲かる」── これが3年7ヶ月運用したリアルな結論です。
次回、第3話「家族変化で売却決断編」では、賃借人が退去した直後に物件を初めて内覧した瞬間に判断した「家庭に合わない」というリアルな決断、管理会社との売却相談、そして売却完了後の最終キャピタルゲイン(追記更新予定)を全公開します。

