「サラリーマンが、いきなり1,000万円の借金をして区分マンションを買う」── 言葉にすると、ちょっと無謀に聞こえるかもしれません。
でも、私は42歳の独身時代、それを実行しました。地方中核都市の築古区分マンション(3LDK・70平米)を、950万円のオーナーチェンジ物件として、自己資金ゼロのオーバーローンで購入したのです。
インデックス投資を3年ほどやっていました。長期積立の威力も実感していました。それでも私は、なぜ「不動産」を選んだのか。なぜ「築古」を選んだのか。なぜ「内覧できないオーナーチェンジ」を選んだのか。なぜ「自己資金ゼロ」で踏み切れたのか。
本記事は、47歳・家計管理パパの私が、独身時代に下した最初の不動産投資の決断を、当時の頭の中まで含めてまるごと振り返るシリーズの第1話です。3年7ヶ月後に売却を決めた現在から振り返って、当時の自分にどんな評価を下せるかも、最後に書きます。
なぜ独身42歳の私が「不動産」を選んだのか — 4つの動機
私が不動産投資を決断した動機は、突き詰めると4つありました。教科書的に並べると無味乾燥ですが、当時の私の頭の中では、それぞれに重みがあった4つです。
① キャッシュフローの分散 ─ 株価変動と無関係の収入源が欲しかった
当時、私はインデックス投資を中心に株式投資を3年ほどやっていました。長期積立で資産は確かに増えていく。でも、インデックスは「売らないと現金にならない」。株価が下がった日でも、何もせずに入ってくる「キャッシュフロー」を、別軸で欲しかった。
一方、家賃収入は株価が暴落した日でも、入居者が住んでいる限り入ってくる。この「相関の低いキャッシュフロー」を1本もっておくことの安心感は、株一本でやっていた当時の私には魅力的に映りました。
② レバレッジ ─ 融資を使って資産形成スピードを上げたかった
株式投資には基本「自己資金」しか使えません。仮に1,000万円の元手で年利5%回せば年50万円のリターン。これはこれで素晴らしいのですが、不動産は同じ元手で銀行から借りて、自分のお金以上の規模で運用できる。
950万円の物件を自己資金ゼロで持てるなら、元手は他の用途(株や生活防衛資金)に残しておけます。「資本の二重活用」と当時の私は呼んでいました。
③ 節税 ─ 給与所得の損益通算が効くと知っていた
不動産所得は、減価償却費・ローン利息・諸経費を計上することで、帳簿上は赤字を作れることがあります。この赤字は給与所得と損益通算でき、結果として所得税・住民税が下がる。
実際、購入後の確定申告では毎年10〜15万円の所得税還付を受けることになりました(このリアル数字は第2話で詳細に書きます)。会社員が合法的に税負担を下げる手段として、不動産は強力な選択肢です。
④ インフレ対策 ─ 実物資産を1つもっておく安心感
現金や預金は、インフレが進めば実質的に目減りします。一方、不動産は物価上昇に合わせて家賃や物件価格が上がる傾向があるので、インフレ対策として実物資産を1つもっておくのは合理的だと考えました。
当時の日本は長らく低インフレでしたが、いつ流れが変わるかは分からない。「現金・株式・不動産」の3資産分散で、どんな環境にも耐えるポートフォリオを作りたかったのです。

株もやってるのに、なぜわざわざ不動産も?素朴な疑問です
株を3年やっていた私のアセットアロケーション思考
もう少し具体的に書くと、当時の私の資産は金融資産1,000万円超。内訳はざっくり「株式(主にインデックス)7:現金3」くらいの比率でした。給与収入は約650万円。
この状態で「次の一手」を考えたとき、選択肢は3つありました。
- A. 株式比率をさらに上げる(リターン期待値は高いが、リスクも集中)
- B. 現金比率を上げる(守りに入るが、機会損失が大きい)
- C. 第3の資産クラス(不動産)に分散する
私が選んだのはC。「ペーパー資産だけで資産を組み上げるのは精神的に不安だ」という、当時の素直な感覚に従いました。実物資産を1本もっておくことで、ポートフォリオに「軸」ができる感覚があったのです。
この発想は、いまの私のブログのテーマである「経済圏×投資 統合戦略」にも引き継がれています。1つの資産クラスに依存しない、3層構造の家計設計。その出発点が、独身42歳のこの決断でした。
なぜオーナーチェンジ物件は内覧できないのか ─ 代わりに何を見たか
私が購入した物件はオーナーチェンジ物件でした。オーナーチェンジとは、賃借人が入居している状態のまま、所有者(オーナー)だけが変わる取引のこと。
不動産投資のスタンダードな手法の1つで、メリットは大きい。購入と同時に家賃収入がスタートし、空室期間ゼロ・募集コストゼロ・想定家賃のブレもゼロ。これは初心者の私には大きな安心材料でした。
一方で、オーナーチェンジ物件は基本的に内覧できません。理由はシンプルで、賃借人が現に住んでいるからです。「これから売る人の物件を見せてください」とお願いしても、入居者にメリットがないので断られるのが普通。これは「売主の都合」ではなく、構造的にそうなっている取引特性です。
では、室内を見られない物件で、何を判断材料にしたか。私は5つそろえました。
- ① 同タイプ物件の写真:同マンション内の別号室の物件情報がネットに出ていたので、間取り・内装の雰囲気はそこで把握
- ② 共用部の現地確認:マンションの外観・エントランス・廊下・郵便受け・管理状態を実際に歩いて見る
- ③ 賃借人属性:法人契約だった。家賃滞納リスクが低く、信用力が見える
- ④ 表面利回り計算:家賃8万円×12ヶ月÷物件950万円 = 約10.1%。築古区分の利回り水準として妥当
- ⑤ 立地調査:駅距離・周辺施設・賃貸需要をネットと現地で確認
結論として、「内覧できないことはデメリットというより、オーナーチェンジ取引の構造的特徴」と整理しました。室内が見られない分、外側から積めるだけ判断材料を積み上げる。これが私の対処法でした。

オーナーチェンジって賃借人がいるから内覧できないんですよね?それで判断するの、不安じゃなかったですか?
なぜ築古「3LDK・70平米」を選んだのか
独身42歳が買うには、明らかに「広すぎる」物件です。3LDK・70平米はファミリー向けで、独身の私が将来住む想定なら、もっと狭い1LDKや2LDKでもいい。
それでも私が3LDKを選んだ理由は3つ。
- 立地が良かった:地方中核都市の中心エリア、賃貸需要が安定している
- ファミリー需要をターゲットにできる:3LDKはファミリー世帯・法人借上げの需要があり、入居者の入れ替わりが少ない傾向
- 後述する「プランB」:将来、自分がリフォームして住む選択肢を残せる
築年数は1989年築、当時としても築30年超え。建物の見た目は古いものの、立地と間取りの強さで「築古でも需要は十分」と判断しました。実際、購入後3年7ヶ月の間、空室は一度も発生しませんでした(詳細は第2話で)。
売出し980万→950万円。30万円値引きを引き出した交渉
物件は980万円で売出しが出ていました。表面利回りは8万×12÷980万=約9.8%。許容範囲ですが、もう少し利回りを上げたい。そこで、不動産会社の担当者を通じて30万円の値引き交渉を試みました。
交渉材料は3つ用意しました。
- 築年数の古さ:築30年超で、将来の大規模修繕負担を加味した価格にしてほしい
- 同タイプ物件の販売価格との比較:ネットで出ていた他号室と比べて、適正レンジの下限で買いたい
- 融資特約あり前提:現金即決ではないので、その分の柔軟性を考慮してほしい
結果、980万→950万の30万円値引きに成功。表面利回りは9.8%→10.1%に上昇。たった30万円の値引きでも、利回りに換算すると0.3%の改善。築古区分の投資判断では、この差は決して小さくありません。
初めての融資申込み ─ 地元の第一地銀で即拒否、続く1行も不承認、3行目でようやく承認
購入申込書には「ローン特約」を入れました。これは、予定していた融資審査が通らなかった場合、契約を白紙解約できる買主のためのセーフティネットです。手付金も返ってくる。初めての不動産投資なら、必ず付けるべき特約です。
そして、人生初めての融資相談に銀行回りが始まりました。
1行目:地元の第一地銀(県内最大手)── その場で即拒否
最初に向かったのは、自分が給与口座にしている地元の第一地銀(県内最大手の地銀)。なんとなく「メインバンクなら通るんじゃないか」という淡い期待がありました。
結果はその場で「お取り扱いできません」。申込書を出すところまでも行けなかった。「築古の区分マンションは融資対象外」と、ほぼ門前払いに近い対応でした。
緊張しながら出向いた銀行で、いきなり壁にぶつかった瞬間です。正直、その日は帰り道で「やっぱり無理なのか…」と少し凹みました。
救いの手:駆け出しの不動産会社担当者
1行目で挫けかけた私を救ってくれたのが、申込みをした不動産会社の担当者でした。1年前に他業界から転職してきたばかりの駆け出しの方で、まだ実績が少ない分、私の案件に本気で寄り添ってくれました。
「自分のメインバンクで通らなくても、まだ手はあります」── そう言って、彼が動いてくれたのです。
2行目:県外資本の地銀 ── 不承認
担当者がまず打診してくれたのは、県外資本の地銀。事前打合せをこなして案件を持ち込んでくれたものの、ここも結果は不承認。理由は明示されませんでしたが、おそらく築年数の壁が大きかったのだと思います。
3行目:隣県の地銀 ── 承認!
そして3行目。担当者が打診してくれた隣県の地銀で、ついに承認が下りました。
承認の決め手は、おそらく次の組み合わせ:
- 物件側の評価:立地が良く、マンションとしての価値が認められた
- 私の属性:年収約650万円・金融資産1,000万円超・全国規模の公的団体勤務
- 事前打合せ:担当者が物件と私の属性をきちんとパッケージして銀行に説明してくれた
後日、関係書類を持って私が銀行に正式申込み。融資はスムーズに通り、条件は変動金利2.0%・17年・団信付・1,040万円のオーバーローンでした。
初めての不動産投資の融資、それは「1行目で諦めるかどうか」の試練でした。教訓は3つ。
- ① 1行目の門前払いは普通:地方の区分マンション投資では、メインバンクで一発承認は珍しい
- ② 不動産会社経由の打診ルートが強い:銀行と物件種別の相性を業者は知っている
- ③ 属性に見合う物件+立地評価のセット:どちらか一方だけでは通らない

3行目でようやく通ったんですか…!初心者が銀行回りでくじけそうになった話、リアルで刺さります
オーバーローン1,040万円・変動金利2%・17年 ─ 通った条件と当時の属性
融資条件をもう少し具体的に書きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 融資額 | 1,040万円(オーバーローン) |
| 金利 | 変動金利 2.0% |
| 期間 | 17年 |
| 団信 | 付帯あり |
| 月返済額 | 約60,200円(元利均等) |
注目してほしいのは「オーバーローン」です。物件価格は950万円、なのに融資は1,040万円。差額の90万円は、登記費用・仲介手数料・不動産取得税・印紙税などの諸費用相当。つまり、私は自己資金ゼロで取引を完結させたことになります。
これは、当時の属性(年収650万・金融資産1,000万超)と、物件の立地評価が組み合わさって初めて成立した条件です。誰でも通せる条件ではありません。それでも、「会社員でも、属性と物件次第ではオーバーローンが可能」という事実は、これから挑戦する読者にとって希望になるはずです。
月返済額60,200円は、家賃8万円の中から十分支払える金額です。ただし、ここに修繕積立金・管理費・固定資産税・管理委託費が加わると、実際のキャッシュフローは別の数字になります。この詳細は第2話「3年7ヶ月の運用リアル数字」で全公開します。
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投資のスタート地点は
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家計管理パパが10年以上使い続けてきた楽天証券。NISA成長投資枠+株式数比例配分方式で配当が事実上非課税、楽天ポイントとも連動。株で土台を作りながら、本記事のような不動産分散に進むのが私の流れでした。
※ 投資判断はご自身の責任で行ってください
「最悪、引退後にリフォームして自分で住む」プランB
独身42歳で1,000万円超の借金を背負う決断には、もう1つ強い後押しがありました。それがプランBです。
当時の私の頭の中ではこう描いていました。
- このまま独身を貫いた場合、退職後に住む家がいる
- 17年ローンを組めば、私が59歳のときに完済
- その間の返済原資は、入居者の家賃で賄える
- 退職前後にリフォームすれば、自分好みの広いマンションが「完済済み・実質無料」で手に入る
つまり、「不動産投資としても成り立つし、最悪は自分の終の住処にもなる」という二重のセーフティネット。3LDK・70平米を選んだのも、独身用ではなく「将来の自分用」を意識した結果でした。

「最悪自分が住めばいい」という保険があったから、踏み切れたんです。あれは当時の自分への最大のセーフティネットでした。
当時の不安と、結婚で状況が変わるプレビュー
正直に書くと、当時の私には不安もありました。
- 築古マンションは大規模修繕やトラブルが心配
- 変動金利の上昇リスクがある
- 賃借人の退去後、次の入居者が見つかるかわからない
- 初めての不動産投資で、知らないことが多すぎる
でも、4つの動機とプランBが、これらの不安を上回りました。「失敗してもリカバーできる」という確信があったから、踏み切れた。
そして、購入から数年後。私は結婚し、息子が生まれました。家族構成が変わり、生活拠点も変わり、「最悪は自分が住む」プランBの前提が崩れていくことになります。この物件が、私の家族の生活に合うのか合わないのか── その答えは、賃借人が退去するまで、私自身も知らないままでした。
この続きは、第3話「家族環境の変化で売却決断 ─ 内覧で初めて見えた『家庭に合わない』という結論」で書きます。
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※ 投資判断はご自身の責任で行ってください
まとめ ─ 独身時代の不動産購入を振り返って
42歳独身時代に、地方中核都市の築古区分マンションをオーナーチェンジ・自己資金ゼロのオーバーローンで購入した私の決断。当時の自分に下す評価は、「あの決断は正しかった」です。
3年7ヶ月の運用で、節税効果と元本返済による資産形成、そして売却に向けたキャピタルゲインまで、トータルで黒字に着地できる見込み(詳細は第2話)。何より、「会社員でも不動産投資は実行可能」だという確信を、自分の人生に1つ刻めたことが大きい。
余談ですが、3行目の地銀で融資を通してくれた不動産会社の担当者は、昨年独立して自分の不動産会社を立ち上げたと連絡をくれました。あの時、駆け出しだった彼が、いまや経営者です。私の不動産投資の最初の伴走者──忘れられない人です。
次回、第2話「47歳パパが投資マンションを3年7ヶ月運用したリアル数字を全公開」では、毎月のキャッシュフロー・確定申告での節税額・残債推移・本当のリターンを、全部数字で書きます。会社員の区分マンション投資、本当に儲かるのか?── そのリアルな答えを、私の実データで示します。

